滋賀県の土地・気候と滋賀酒の関係(R3年8月31日投稿)

滋賀県は日本列島のほぼ中央に位置し、県の中心部には近江盆地と県土の約6分の1の面積を占める日本最古で最大の湖である琵琶湖がある。その琵琶湖の周りを比良・比叡・伊吹山地及び鈴鹿山脈など1,000m級の山々が四方を取り囲んでいる。滋賀県では、これらの山々から大小約450の河川が琵琶湖に流入し、肥沃な土壌を運びながら扇状地や三角州を形成してきた。古琵琶湖層と言われるミネラル成分を豊富に含む粘土質の地盤の上に水はけの良い土壌が堆積し肥沃な土壌が形成された。周囲の山々を水源とする豊かで良質な地下水や伏流水は、古くから近江盆地や棚田での稲作に活用され盛んに米作りが行われ、農家の切磋琢磨の積み重ねにより良好な米が生産されてきた。また、滋賀県は内陸であるため比較的穏やかな気候でありながらも、盆地特有の昼夜の気温差があるため、清酒の原料とする米を育てる環境にも適していた。これらの気候条件により、酒米の栽培にも適している。更に、厳冬期には近畿の最低気温を度々更新する盆地特有の底冷えは、滋賀県特有の寒冷な気候として、酒を醸す工程において重要な発酵過程にも影響をしており、より穏やかな発酵に繋がっている。このような自然環境のもと、地元で収穫された良好な米とゆたかで良質な地下水や伏流水など自然の恵みを原料として、濃醇な旨味と滋味深い味わいを有する清酒を醸し出している。

                    滋賀県酒造組合 事務局長 澤 友二

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